研究概要 |
我々は心臓β受容器の刺激によって活性化するクロライドチャネルが細胞の容積調節に寄与していることを報告した(Wang et al.,1997,Journal of General Physiology 110:73-82)。この概念を更に他のイオンチャネルを介するイオンフラックスと細胞容積変化の関係に普遍化するためには、イオンチャネル電流と細胞容積変化の関係を定量的に調べる必要があった。我々の開発した単一細胞の厚さを測定する方法は手技が困難で、膜電位固定実験と組み合わせることが困難であった。そこで、リニアーイメージセンサーを利用して、細胞の幅を正確に測定する方法を開発した。浜松ホトニクス社製の測定器の出力は1走引が僅かに2msecで、これをA/D変換器でコンピューターに取り込み、細胞の偏沿の光シグナル強度変化から、細胞の長さや幅を計測するプログラムを独自に開発した。その結果、膜電位や膜電流の測定と同時記録が可能となった。この方法で、まず、β受容器を刺激し、クロライドチャネルを活性化すると、細胞の容積が減少することを同時記録で確認できた。更に、他のKチャネル電流を活性化しても、細胞の容積が変化することを証明できた。即ち、外向き電流を流すと細胞容積は減少し、内向き電流を流すと細胞容積が増大することを見いだした。この陽イオンで運ばれる電流の方向と細胞容積変化は陰イオン即ちCl電流で観察したものと逆であり、イオンフラックスによる細胞容積変化であることが確認された。
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