研究課題/領域番号 |
08557015
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応募区分 | 試験 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
谷口 直之 大阪大学, 医学部, 教授 (90002188)
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研究分担者 |
竹内 誠 キリンビール株式会社, 基盤技術研究所, 主任研究員
井原 義人 大阪大学, 医学部, 助手 (70263241)
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キーワード | HBV / gnt3 / 糖鎖 / 糖転移酵素 / 肝癌 / 遺伝子発現 / 糖鎖遺伝子 |
研究概要 |
gnt3遺伝子導入B型肝炎ウイルス(HBV)感染肝癌細胞の解析 gnt3遺伝子については既にクローニングに成功しており、この遺伝子をアクチンプロモーターをもつ哺乳類発現ベクター(pCAGGS)に組み込むことにより、gnt3発現ベクターを作成した。このベクターをHBV感染肝癌細胞HB611に導入したところB型肝炎ウイルスの発現が著しく抑制された。近年、HBVのホスト肝細胞または肝癌細胞での発現は細胞増殖、細胞周期に大きく影響されるという報告をみる。我々の実験結果によるとgnt3遺伝子の導入により、宿主細胞は細胞内外の糖タンパク質の糖鎖構造が改変された。恐らくこの中には、増殖因子などのリセプターも含まれるだろう。また我々は別の系においてgnt3による増殖因子受容体の糖鎖改変が細胞内シグナルを変え、分化増殖の制御を行うことを見い出した。肝癌細胞を含め多くの癌細胞は培養液中の血清や、自らが産生する増殖因子、サイトカインの影響を受けて増殖する。恐らくこのとき誘導されたシグナルがHBVの転写に関与する因子を増減させたと推察される。次のステップとしては、単一または複数の転写に関与する因子の同定である。我々のデータでは、2本のHBVmRNAが共に変化することから固有のプロモーターよりも、HBVのエハンサー2に結合するタンパクの変化が予測される。その転写因子の代表的なものとしてhepatocyte nuclear factor(HNF)があり、それ以上のものに関して2ハイブリッドシステムを用いて現在検討中である。これらの転写因子がgnt3遺伝子導入により、いかに変化しているかが大きなポイントと思われる。一方、gnt3と拮抗する糖鎖枝分かれ構造を合成するgnt5遺伝子の導入では、HBVの発現には大きな影響を与えなかった。
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