研究概要 |
抗HIV-1抗体を検出する免疫複合体転移測定法の自動化と自動化に用いるリコンビナントHIV-1抗原の調製の2つについて研究を進めた。 従来の免疫複合体転移測定法では、2,4-ジニトロフェニル抗原、抗体IgG、β-D-ガラクトシダーゼ標識抗原からなる免疫複合体の抗2,4-ジニトロフェニル基IgG不溶化ポリスチレンボールへのトラップを一夜で、また、その抗イムノグロブリンIgG不溶化ポリスチレンボールへの転移を3.5時間で、それぞれ行っていた。こうした従来のポリスチレンボールをスティック付ポリスチレン固相に代えて自動化を行う計画であった。しかし、免疫複合体のトラップと転移に要する時間が長すぎるため、処理しうる検体数が制限されることが予想された。そこで、自動化装置の試作をこの時点で一旦中断し、その点を改善するため免疫複合体の2,4-ジニトロフェニル基IgG不溶化磁気微粒子へのトラップを試みた。その結果、トラップの時間は約1時間に短縮できることがわかったが、β-D-ガラクトシダーゼ標識抗原の磁気微粒子への非特異吸着が非常に高いことがわかった。種々のメーカーの磁気微粒子について検討したが、結果は変わらなかった。そこで、もう一度免疫複合体を抗2,4-ジニトロフェニル基IgG不溶化スティック付ポリスチレン固相にトラップし、抗イムノグロブリンIgG不溶化マイクロプレートに転移させる条件を種々検討したところ、短時間でも従来より高感度化することができた。この結果に基き、当初の計画より遅れたが、当初の計画通りスティック付ポリスチレン固相を使って自動化装置を試作した。 リコンビナント逆転写酵素、p17、p24から調製した2,4-ジニトロフェニル抗原とβ-D-ガラクトシダーゼ標識抗原を使って、実用に耐える免疫複合体転移測定法が可能かどうか、自動化装置を用いて検討する計画を進めている。
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