研究課題
3系統のHCVエンベローブ遺伝子トランスジェニックマウスと2系統のHCVコア遺伝子トランスジェニックマウスを樹立した。エンベロープ・トランスジェニックマウスでは、予想されたサイズのE1とE2蛋白が肝を中心としたいくつかの臓器に発現しているのが確認された。これら二つの蛋白は、マウスの肝組織中でダイマーを形成しており、また培養細胞中と同様に糖鎖を保持していた。このマウスでは肝には炎症、肝細胞壊死、腫瘍化などは24箇月齡まで全く発生せず、エンベロープ蛋白自身には細胞傷害性や増腫瘍性は存在しないことが明らかになった。しかし、このトランスジェニックマウスの唾液腺には、リンパ球の湿潤が認められ、これはヒトにおけるシェ-グレン症候群の病理組織像に酷似していた。慢性のC型肝炎においても、唾液腺にシェ-グレン症候群類似の病変の見られることがあるとの報告があるが、今回の我々の所見はその事実を確認するとともに、HCVのエンベロープ蛋白が唾液腺炎をもたらすことを示唆するものである。コア遺伝子トランスジェニックマウスでは22kDのコア蛋白の肝における発現が確認された。主に肝細胞の細胞質に分布していた。脂肪の蓄積が認められるため、現在解析中である。
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