研究概要 |
[目的]臓器別癌死亡率の第一位を占める肺癌の早期発見を目指し、ハイリスク患者の集団検診を実施可能とする喀痰中癌細胞自動識別装置の開発を目的とした.[検討結果]1)測定条件設定:前年度に検討したポルフィリン誘導体(PH1008)(HPD)と肺癌細胞樹立株A549細胞により検討した励起波長400nm前後での蛍光を各種肺癌細胞株(腺癌:A549,LCSC#1,扁平上皮癌:EBC-1および小細胞癌:LU65),ヒト正常細胞として肺線維芽細胞、BAL液細胞、好中球似付いてHPD濃度1μg/mlで処理し、固定励起波長による蛍光強度を微弱蛍光カメラ(C2400-47)により比較観察した.2)測定結果:扁平上皮癌、小細胞癌、腺癌の順に強い蛍光が観察されたが、正常細胞でも若干の蛍光が観察され、識別の特異度の点で不十分であった.[考察]今回の検討では予備実験で得られた癌細胞の蛍光スペクラムによる正常細胞との差を明瞭にすることが出来なかった.その原因が今回試作装置に組み込んだ微弱蛍光カメラの高感度蛍光波長領域の不適合によることが明らかになった.すなわち、今回の蛍光カメラは基礎実験で得られた癌細胞と正常細胞を識別可能な至適蛍光波長よりも、かなり低波長領域に高感度領域にあり、そのことが癌細胞と正常細胞とを高い特異度で識別できなくした要因であることが明らかとなった.次年度は高感度蛍光波長領域が識別に最も適合した微弱蛍光カメラに切り替えて検討する.
|