研究課題
基盤研究(A)
心筋特異的ホメオドメイン蛋白CSXおよびZinc-Finger蛋白GATA-4は発生段階の早期から予定心臓領域に発現しており、心臓の発生・分化において極めて重要な転写因子であると考えられる。昨年までに我々は、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の遺伝子発現がCSXによって制御されていることを明らかにしたが、ANPの発現はGATA-4によって制御されていることもすでに報告されている。そこでANP遺伝子の発現がCSXおよびGATA-4によって協調的に調節されている可能性について検討した。方法は、ヒトCSXcDNAおよびマウスGATA-4cDNAを発現ベクターに組み込み、ANP遺伝子のプロモーター領域を含むレポーター遺伝子とともにCOS-7細胞に導入しtrans-activation活性を解析した。またCSXとGATA-4のin vitroにおける会合をin vitro translationとGST融合蛋白を用いたGST pull-down assayで、またin vivoにおける会合を特異抗体を用いた免疫沈降物のWestern Blottingにより、それぞれ解析した。その結果、CSXによるANP遺伝子の転写亢進には、転写開始点から上流-100bpおよび-250bpに存在するCSX結合配列が重要であった。またCSXとGATA-4を同時に発現させると、ANP遺伝子の転写は相乗的に亢進し、その強調作用には-250bpに存在するCSX結合配列が必要であった。さらに、CSXとGATA-4はin vivoおよびin vitroにおいて蛋白同士が直接会合し、その会合にはCSXのホメオドメインとGATA-4のZinc-Fingerドメインが重要であった。以上より、心筋に発生早期より発現し異なるDNA binding motifを持つ転写因子であるCSXとGATA-4が、直接的な蛋白-蛋白相互作用を介してANP遺伝子の転写を協調的に制御することが明らかにされた。
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