研究課題/領域番号 |
08557050
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
下川 宏明 九州大学, 医学部, 助教授 (00235681)
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研究分担者 |
市来 俊弘 九州大学, 医学部, 非常勤研究員
筒井 裕之 九州大学, 医学部, 講師 (70264017)
住本 英樹 九州大学, 医学部, 教授 (30179303)
居石 克夫 九州大学, 医学部, 教授 (70108710)
内海 英雄 九州大学, 薬学部, 教授 (20101694)
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キーワード | 炎症性サイトカイン / 心不全 / NO / 活性酸素 |
研究概要 |
1.代表的炎症性サイトカインであるインターロイキン-1β(IL-1β)を化学的に径15mmのマイクロスフェア(MS)に結合させ、透視下にイヌ左冠動脈に選択的に投与し、左心室のみが慢性にIL-1βに暴露されるモデルを作成した。その結果、IL-1βを結合していないMSのみを投与した対照群に比して、IL-1β群では心機能低下が投与後1週間まで遷延した。このIL-1βによる遷延性の心機能低下はIL-1βの中和抗体の同時投与により防止されたところから、IL-1βによる作用であることを確認した。 2.このモデルではIL-1βMSが塞栓した細動脈レベルから好中球を中心とする炎症細胞浸潤が始まり、経時的に増加してゆくこと、それには血管内皮上の接着因子の発現の増加が関与していることを明らかにした。接着因子阻害剤であるSLeX-OSやP-selectinの中和抗体であるPB1.3の投与によりIL-1β誘発性心機能障害は防止された。 3.本モデルにおける一酸化窒素(NO)および誘導型NO合成酵素(iNOS)の役割について検討する目的で、非特異的蛋白合成阻害作用を有するdexamethasone(DEX)および選択的iNOS阻害薬aminoguanidine(AG)の抑制効果について検討したところ、両薬剤ともIL-1β誘発性心機能障害を防止した。 4.本モデルにおける活性酸素の関与を見る目的で、superoxide anion産生阻害薬であるOPC-6535の抑制効果について検討したところ、IL-1β誘発性心機能障害を防止した。 5.2-4のプロトコールにおいて、NOとsuperoxideが反応して生じるperoxynitrite(ONOO^-)の心筋での産生(nitrotyrosine濃度にて評価)について検討したところ、心機能とONOO^-との間に有意の負の相関が認められ、ONOO^-が最終的な心筋障害物質である可能性が示唆された。
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