研究課題/領域番号 |
08557054
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応募区分 | 試験 |
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
市橋 正光 神戸大学, 医学部・医学科, 教授 (00030867)
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研究分担者 |
内海 博司 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (20025646)
福田 寛 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (30125645)
吉野 和夫 信州大学, 理学部, 助教授 (70143964)
古林 徹 京都大学, 原子炉実験所, 講師 (90089136)
三嶋 豊 三嶋皮膚科学研究所, 所長
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キーワード | thermal neutron capture therapy / epithermal / melanoma / boron-10 / ^<10>B-p-bornophenylalanine / RBE / tyrosinase |
研究概要 |
京都大学原子炉(KUR)の重水設備が捕捉療法のため改良された。熱中性子(0.6eV以下)は4.9*10^9/cm^2/秒、熱外中性子(<10KeV)は1.5*10^9/cm^2/秒のfluxが得られ、深部照射に適していることが証明された。本照射場の生物学的効果比(RBE)を培養細胞で求めると、2.0であった。現在熱外中性子の到達深度を測定している。 ビーム出力の2次元計算コード評価で100KeV程度の陽子加速器が都市部にも新設可能な中性子源となりうるとの結果を得た。 従来の^<10>B-p-borono-phenylalanine(^<10>B-BPA)に比べより効率良く黒色腫に集積するボロン化合物を得るため、チロシンアナログとしてフェニルホウ酸の合成を開始し、現在最終ステップまで合成が進んでいる。また、^<10>B-BPAの黒色腫細胞に特異的に集積するか否かをBの位置で比較したところ、para位にBをもつ^<10>B-BPAのみが投与4時間で特異的集積性を示した。さらに^<10>B-BPAは取り込み黒色腫細胞の酵素チロシナーゼ活性と相関した。非黒色腫癌細胞にチロシナーゼcDNAを移入すれば^<10>B-BPAを用いた熱中性子療法で多種癌を治療できる可能性が示唆された。 改良されたKURでの黒色腫治療再開前に、BNCT療法による既治療18例をTNM分類で分け、治療成績を詳細に分析し、生存率を評価した。N_0M_0では2年生存率は90%以上、T_<3-4>、N_<1-2>、M_1では約78%であり、手術療法と同等ないしはそれ以上の有効性を得た。 今後、これらの成果に基づき第II相後期に当たるBNCT療法をより安全に、また有効に実施するため治療症例を追加すると共に、より有効なボロン化合物の合成と至適照射条件を設定する。
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