研究概要 |
表皮水疱症は稀少難治性疾患に指定されており,その正確な診断,ならびに病型分類法の確立とその対策が大きな課題となっている.DNAレベルでの確実な診断法が確立されGenotype/phenotype correlationが明らかとされれば個々の本症患者へ臨床的対応をより的確に行うことができ、また現時点では有効な治療法がない最重症型に関しては国際的にも出生前診断が適応とされいる。本年度の研究により、まずHerlitz致死型表皮水疱症では、西欧人の患者でホットスポットされているLAMB3 geneのR42X変異やR635X変異は日本人患者には稀であり、少なくとも12例の日本人症例においては見つからなかった。すなわち日本人患者においては人種特異的な変異部位があることが推定された(Shimizu H et.al.Absence of R42X and R635X mutations in the LAMB3 gene in 12 Japanese patients with junctional epidermolysis bullosa. Arch Dermatol Res,in press)。さらに劣性栄養障害型については、日本人に特異的なVII型コラーゲン遺伝性変異部位が確認された(Shimizu H et.al ; Molecular basis of recessive dystrophic epidermolysis bullosa : genotype / phenotype correlation in a case of moderate clinical severity. J Invest Dermatol 106 : 119-124,1996).これらの結果に基づき、DNAレベルでの出生前診断がより正確に施行できるようさらに準備を重ねている。
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