研究課題/領域番号 |
08557057
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
笹井 啓資 京都大学, 医学研究科, 助教授 (20225858)
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研究分担者 |
藤林 靖久 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (50165411)
平岡 真寛 京都大学, 医学研究科, 教授 (70173218)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | 低酸素細胞分画 / コメットアッセイ / Cu-ATSM / 急性低酸素細胞 / 慢性低酸素細胞 |
研究概要 |
1.^<62>Cu-ビスチオセミカルバゾン銅錯体が腫瘍細胞において低酸素状態のマーカーとして使用可能であるかを検討した。腫瘍細胞と正常細胞では還元のメカニズムが異なることが分かった。腫瘍細胞はミトコンドリアは機能が正常であるにもかかわらず活性を示さず、細胞質に正常細胞にはない還元能を有していること、つまり、酸素存在下においても嫌気的な代謝をおこなっていることが分かった。腫瘍細胞においてもこの薬剤は滞留性するが、これは組織の低酸素状態を意味するものではなく、腫瘍細胞がもつ代謝上の特異性が原因であった。すなわちこの薬剤は低酸素細胞分画を測るには適していないが、腫瘍の細胞学的悪性度を知るマーカーになり得ると考えられた。 2.独自のコメットアッセイ法を開発した。in vitroで常酸素状態および低酸素状態で同線量を照射した細胞を適当な比率で混じコメットアッセイを行ったところ混合比率にしたがってtail momentの大きい(すなわち常酸素状態で照射)細胞と小さい細胞(低酸素状態で照射)が認められた。特に、アルカリ法が低酸素細胞分画を求めるために有効と考えられた。 次にin vivoで、コメットアッセイ法を用いて求めた腫瘍内低酸素細胞分画を従来の放射線生物学的方法で求めた低酸素細胞分画値と比較、検討した。 2種類の異なる低酸素状態をとる腫瘍に置いてコメットアッセイ法によって検出された低酸素細胞分画は、放射線生物学的方法で求めた値と有意に相関関係を示した。異なる低酸素状態をとる2腫瘍において、個々のDNA障害の差を検出するコメットアッセイ法と、細胞の生死をエンドポイントとする放射線生物学的方法との間で相関関係が得られることは、放射線照射時の低酸素細胞分画値の測定を目的とした臨床応用の可能性を大いに示唆するものである。
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