研究課題/領域番号 |
08557068
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮田 哲郎 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (70190791)
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研究分担者 |
多久和 陽 金沢大学, 医学部, 教授 (60171592)
濱田 洋文 癌研究会, 化学療法センター・分子生物治療研究部, 部長 (00189614)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | 内皮細胞 / ハイブリッド型人工血管 / tissue plasminogen activator / thrombomodulin / Plasminogen activators |
研究概要 |
・adenovirus vectorを用いたヒトtissue plasminogen activator(tPA)遺伝子導入内皮細胞でハイブリッド型人工血管を作成し、イヌ頚動脈に移植後、早期の内皮細胞のretention,tPA分泌能を測定した。移植後8時間の内皮細胞のtPA分泌能は保たれていたが、seedingした細胞の10-20%しか人工血管上に残存しなかった。tPA遺伝子導入内皮細胞とLacZ遺伝子導入内皮細胞との間で移植後のretentionに差はなく、継代培養が長くなるにつれて内皮細胞のretentionは低下した。さらにePTFE人工血管とDacron人工血管とで差がありDacron人工血管上での内皮細胞のretentionが良好であった。遺伝子導入した内皮細胞が人工血管上で機能するためにはadenovirus vectorのような高いtransduction efficiencyのvectorを使用して生体外の培養時間を短くし、できるだけ早く生体に戻すこと、人工血管としてはDacron管を用いることが重要と結論できた。 ・adenovirus vectorを用いたヒトthrombomodulin(TM)遺伝子導入内皮細胞でハイブリッド型人工血管を作成した。TM機能は種特異性がありヒトTMはイヌで効かなかった為実験動物をサルに変更して外腸骨静脈に移植した。1週間の移植期間ではTM graft、controlのLacZ graft共に開存した。組織学的検索ではTM graftの内腔の血栓付着量がLacZ graftに比較して少なくTM遺伝子導入に期待が持てたが統計学的に有意差はみられなかった。静脈移植では吻合部近傍で静脈が捻れてしまうことがしばしばあり必ずしも遺伝子導入内皮細胞の機能が不十分という結論は出せないと考えている。上記のようなテクニカルな問題をできるだけ除外するために、exvivoで移植内皮の機能を測定する実験系を作成しており、この実験系で現在実験を進行中である。 ・血管新生を目的としてb-FGF遺伝子をadenovirus vectorを用いてfibroblastに導入し、下肢虚血モデルのウサギの内腸骨動脈に細胞移植したところ、1ケ月で良好な側副血行路が形成された。この遺伝子を血管内皮細胞に導入してハイブリッド型人工血管を作成する実験を進行中であり今後の応用が期待される。
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