研究課題
基盤研究(A)
1.MAGE発現の検討:消化器癌で比較的高率に発現している事を報告してきたが、さらに肝癌で約60%に発現している事を見出した。またMAGE-1から-12までの発現を検討したが胃癌、食道癌等でいずれか1つを80%から90%の症例で発現している事を認めた。2.ペプチドによる特異的細胞傷害性T細胞(CTL)の誘導:健常人末梢血(PBMC)よりMAGEペプチドを用いて特異的CTLを誘導しうる簡便な方法を開発した。この方法を用いて癌患者PBMCより特異的CTLを誘導する事が出来た。3.新しい抗原ペプチドの同定:ペプチドを用いた特異的免疫療法の適応を拡大するために、日本人に多いHLA-A24拘束性のMAGEベプチドの同定を試みた。結合モチーフからペプチドを選択し、このうちの結合能の高いベプチドについて、私共が開発した方法を用いて健常人PBMCからの特異的CTLの誘導を行った。その結果、MAGE-3でHLA-A24拘束性の免疫原性の高いベプチド、IMPKAGLLI、を同定し、また同様に免疫原性の高MAGE-1でHLA一A24拘束性のベプチド、NYKHCFPEI、をも同定した。、4.MAGEぺプチドを用いた癌ワクチン療法の試み:自家PBMCより樹状細胞(DC)を作製し、これにペプチドをパルスしたDCワクチンを消化器進行癌患者に投与する療法を、当研究所倫理委員会に申請し、承認されたので、3例の患者に施行した。その結果、進行胃癌の1例で療法後、腹壁腫瘤に炎症所見がみられ、PBMCより特異的CTLの誘導が可能であった。また、食道癌再発の1例で頚部転移性腫瘤の縮小を認め、この療法の有効性が示唆された。
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