研究概要 |
補助的一時的部分同所性肝移植(Auxiliary Temporal Partial Orthotopic Liver Transplantation(ATPOLT))の動物実験を計画するにあたり,まず,総胆管結紮1週間後に肝左葉切除を行いことによりfulminant hepatic failureモデルを作成し,3日後にdonor犬より肝左葉を生体肝移植の手技を用いて摘出し,これを移植するモデルを作成して検討した.[方法]雄性ビ-グル犬の総胆管結紮により,閉塞性黄疸モデルを作成し,1週間後に肝左葉切除を施行した.このモデルについて,移植後にN-acetylcysteine(NAC)を投与する群と,非投与群(5%glucose持続投与)とを作成した.測定項目として,好中球の活性酸素産生能をflow cytometryで測定した.また,肝ミトコンドリアoxidative stressは,肝ミトコンドリア分画の分離後,HPLCにより肝ミトコンドリアの還元型グルタチオン(GSH)と酸化型グルタチオン(GSSG)を同時測定して,GSSG/GSH値で検討した.肝ジヌソイド内皮細胞機能は,ヒアルロン酸を測定した.肝細胞障害は血中のα-glutathione-S-transferase(αGST)濃度で検討した.[結果]現在までに,両群とも3例の手術が成功した.24時間後のデータとして,好中球oxidative stress,ミトコンドリアoxidative stressは,無治療群で高値であった.ヒアルロン酸値,αGST値も無治療群で高値であった.[結論]Free radical scavengerであるNACを投与すると,mitochondrial oxidative stressやneutrophil oxidative stressが抑制され,肝細胞障害,肝ジヌソイド内皮機能が保持されることが示された.
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