研究課題/領域番号 |
08557078
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
消化器外科学
|
研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
中野 浩 昭和大学, 医学部, 講師 (10241035)
|
研究分担者 |
熊田 馨 昭和大学, 医学部, 教授 (00025602)
山口 真彦 昭和大学, 医学部, 講師 (00266149)
|
研究期間 (年度) |
1996 – 1998
|
キーワード | 激症肝不全 / コリン・メチオニン欠乏食 / 補助的一時的部分同所性肝移植 / α-glutatione S transferase / N-acetlcysteine / 抗 ICAM1 モノクローナル抗体 / 還元型グルタチオン |
研究概要 |
【研究は背景と目的】激症肝機能不全に対する肝移植法の救命率は内科治療に勝り、救命率50%以上とほうこくされている。特に補助的一時的部分同所性肝移植 auxiliary temporal partial orthotopic liver transplantation (ATPOLT)法は、同時に2例の肝移植を行い得る可能性と、激症肝炎治癒後に免疫抑制療法を回避し得るという利点から注目されている。今回、本邦の移植事情に合致した、生体部分肝を使用してATPOLT法を行うことを目的に、実験的検討を行った。【研究方法】コリン・メチオニン欠乏食摂取2ヶ月間により肝硬変ブタを作成し,これに肝外胆管結紮術を行い閉塞性黄疸を1週間負荷することにより重傷肝機能障害ブタ10頭を作成した。生体肝移植の手技を用いて正常ブタより肝左葉を摘出し、重傷肝障害ブタ10頭にATPOLT法を施行した。実験群として、A群(5頭)は、ATPOLT後、経過観察のみを施行した。B群(5頭)は、ATPOLT後、直ちに、150mg/kg/dayのNACを経静脈的に連続的に投与し、また、0.8mg/kg/dayの抗 intercellular adhesion molecule-l(lCAM-1)モノクローナル抗体を1日一回、経静脈投与した。【研究結果】実験動物10頭において、術中死亡は認められなかった。B群の5頭は実験経過の3日間において死亡はなかった。しかし、A群においては、すべて術後3日目に死亡した。血中α-glutathione S transferase値は、B群はA群に比して、術後2日目に有意な減少が認められた(p<0.05)。血中プロトロンビン値、総ビリルビン値、血中還元型グルタチオン値においてもB群はA群に比して有意な改善が認められた。【研究総括】重症肝機能不善の治療に関して、生体部分肝を使用したATPOLT法のみでは、長期的生存が得られず不十分であることが示されたが、術後急性期に、活性酸素阻害剤である抗N-acetylcysteine と、炎症細胞と血管内皮細胞の接着を阻害する細胞間接着分子阻害剤である抗lCAM1モノクローナル抗体を投与することにより長期生存、術後急性期障害を予防できる可能性が示唆された。
|