研究課題/領域番号 |
08557079
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松田 暉 大阪大学, 医学部, 教授 (00028614)
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研究分担者 |
金田 安史 大阪大学, 細胞生物工学センター, 助教授 (10177537)
平田 展章 大阪大学, 医学部, 助手 (70283752)
澤 芳樹 大阪大学, 医学部, 助手 (00243220)
大竹 重彰 大阪大学, 医学部, 講師
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キーワード | 遺伝子導入 / HVJ-liposome / B2Adrenerigic receptor |
研究概要 |
A)Beta2Adrenergicreceptor(BAR)遺伝子を有した、または、有さないvectorを250gのSDラットの正常心にHVJliposome法を使用し導入した(BAR群、C群)。結果:1.humanB2ARに対する免疫染色法では2.3.4.5.遺伝子を有さないvectorを導入したラット心に比し、1.humanB2ARに対する免疫染色法によってBAR群のみ、赤色に染色され、蛋白が同定された。2.cyanopindololを用いてBAR密度を定量すると(BAR群平均134、C群33pg/mg protein)、有意にBAR群で高値であった。3.Langendorff回路によるBAR遺伝子導入心の機能検査では、心拍数、左室圧(DP)、単位時間当たりの左室圧の変化の最高最低値(maxdP/dt,mindP/dt)はbeta受容体刺激薬(ISP)の投与前にはBAR群とC群に差を認めなかったが、投与後にはBAR群のDP、maxdp/dtおよびmindP/dtはC群のそれらより有意に高値を示した(DP : 200 vs 174mmHg,maxdP/dt :4110 vs 3491 mmHg/sec、mindP/dt : -3040 vs -2528 mmHg/sec,p<.05)。 B)BAR密度が低下することが報告されている容圧負荷後5周目のSDラット心においても、BAR遺伝子導入群(pBAR群)と非導入群(pC群)で同様の検討を施行した。結果:1.圧負荷ラット心では有意にBAR密度が低値であった(平均22と34pg/mg protein)。2.免疫染色ではpBAR群でのみ心筋細胞膜が赤色に染色された。3.BAR密度はpBAR群で有意に高値であった(140 vs 24pg/mg protein).4.心機能検査では、ISP投与前両群の心拍数、DP、maxdP/dtおよびmindP/dtに差を認めなかったが、ISP投与後はpBAR群のDP、maxdP/dtおよびmindP/dtはpC群に比し、有意に高値であった(DP : 260 vs 230mmHg、maxdP/dt : 5500 vs 4500mmHg/sec、min dP/dt : -4500 vs -3300mmHg/sec)。まとめ:BAR遺伝子を導入した正常ラット心および圧負荷ラット心では導入しなかった心に比し、有意にBAR密度が上昇し、ISPに対する左室の反応性が向上した。HVJliposome法を用いた心への遺伝子導入法は心機能を向上させる一手段と成りうると考えられた。
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