研究課題/領域番号 |
08557081
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
田中 隆一 新潟大学, 脳研究所, 教授 (30018816)
|
研究分担者 |
高橋 英明 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (70236305)
柿沼 健一 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (50283015)
|
キーワード | 悪性脳腫瘍 / 熱感受性リポソーム / アドリアマイシン / 温熱療法 |
研究概要 |
1) 相転位温度を40℃に設定した新しい熱感受性リポソームにアドリアマイシン(ADR)を封入して、体内薬理動態を観察したところ、本リポソームは有意に血液中で安定であり、加温部位を通過するたび毎にADRを繰り返し放出することが再実験で示されたが、その反面肝臓、脾臓へのADRの集積の問題が解決されなかった。これは、血液中での滞留性に優れていることがリポソーム化されたことの利点ではあるが、最終的には生体内では異物として処理されることになるリポソームの宿命とも考えられた。 2) しかし乍ら同じ実験系で肝臓、脾臓を摘出し組織学的に検討したところ幸い異常は認められなかった。 3) 更にこの肝臓、脾臓へのリポソームの集積の問題の解決と治療効果の向上を計るためにリポソームの脳内への動注法を企図し、リポソームを小型化して180nmにほぼ均一にsizingし、成犬に動注したところ、本リポソームは血中での擬集もなく塞栓源ともならなかった。また発熱もみられず、採血上も肝機能障害は出現しなかった。これらの結果から本治療の臨床応用への方向性が見い出されたと考えられた。
|