リポソームに細胞特性を持たせるための蛋白としてアシアロ蛋白をカチオニックリピッド(N-(α-トリメチルアンモニオアセチル)-ジドデシル-D-グルタメイトクロリド(TMAG)を含むリポソームに取り込ませ、ヒト肝癌細胞HepG2を標的として遺伝子導入を試みた、その結果、β-galactosidase活性として2-5倍の増強効果が得られた。またアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターをリポソームに包埋することで発現効率は2-4倍増強した。これにより特異性のないAAVベクターに細胞特異性をもたせることが可能となった。 一方で臨床研究に使用可能な遺伝子導入用リポソームの調製を目指し、プラスミドの大量調製法と純度検定法を確立した。プラシミドの大量調製法としてQIAGEN社製Plasmid Max KitあるいはUltrapure100カラムを採用した。米国での検定法を参考に純度検定法を以下のように考案した。(1)吸光スペクトル(A260/A280)は1.75-2.0、(2)DNA濃度は90%以上、(3)大腸菌由来のDNAはサザンブロット法により定量し、2%以下、(4)タンパク質はビシンコニン酸法により定量し、1%以下。そしてこれらの基準をすべてクリアするプラスミドの調製に成功した。さらにこの遺伝子を用いてリポソームを調製し、最終産物である遺伝子包埋リポソームの均一性を検討後、安全性試験をラットおよび犬で行い、良好な結果を得た。
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