研究課題/領域番号 |
08557082
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉田 純 名古屋大学, 医学部, 教授 (40158449)
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研究分担者 |
水野 正明 名古屋大学, 医学部, 助手 (70283439)
妹尾 久雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (40135380)
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キーワード | リポソーム / 臨床研究 / 脳腫瘍 / 遺伝子発現調節 / 製剤 |
研究概要 |
本研究は悪性脳腫瘍、肝臓癌、腎臓癌等の難治性腫瘍に対する新しい治療法として期待されている遺伝子治療の開発を推進するために必要な遺伝子導入用ベクターの開発を非ウイルスベクターの代表であるリポソームを中心に押し進めてきた。(1)リポソームの開発:我々はカチオニックリピッド(N-(α-トリメチルアンモニオアセチル)-ジドデシル-D-グルタメイトクロリド(TMAG)あるいはジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)など)を用いたカチオニックリポソームを開発し、ヒトグリオーマ細胞をはじめ多くの腫瘍細胞で高い遺伝子発現が誘導できることを証明した。昨年はHSPブロモータでドライブされるプラスミドと澁性微粒子マグネタイトとのコンビネーションについて検討したが、本年度はAAVベクターの構造を持つプラスミドとアデノウイルスの持つE1及びE4蛋白発現ベクターを同時にリポソームにて遺伝子導入することで発現効率が数十から数千倍に高まることを確認した。またAAVベクターそのものをリポソームに包埋することでAAVベクター単独の場合よりはるかに高い遺伝子発現を導くことに成功した。(2)リポソームの応用:本年度は臨床研究用のインターフェロン-β発現プラスミド包埋リポソーム製剤を大量に調製するための施設を附属病院内に開設し、遺伝子治療製剤調製室と名付けた。この施設において調製されたリポソーム製剤に対してその性状、pH、浸透圧比、純度試験、発熱物質試験、無菌試験、生物活性、規格と量の試験項目を設け、検証したところ、すべての条件をクリアすることができた。以上のことから調製された遺伝子治療臨床研究用リポソーム製剤は臨床研究に十分耐えうるものと考えられた。
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