初年度の研究によって、健常者では凍結路面での歩行時には、立脚相でも通常の歩行よりも膝関節を屈曲して歩行しており、現在市販されている義足膝継手では、荷重する時には完全伸展しており、重心位置が高く危険な状態であることが明確となった。凍結路面に適した膝継手の開発が必要であり、特に立脚相でも膝屈曲を適度に許すものが必要不可欠であるといえる。 本年度の研究は、初年度の研究成果を基に大腿切断者が凍結路面での歩行時に、健常者と同じ膝関節角度をとるために必要な機能を明確にした。それらの情報を基に一次試作モデルを作製し、その一次試作モデル装着時での大腿義足歩行評価を行った。通常歩行の設定では、市販膝継手の最も高機能の膝継手と同等の機能を発揮し、凍結路用の設定では、従来の膝継手に見られないような健常者に類似した歩行パターンと装着者の良好な使用感を得ることができた。しかし現時点では、通常の歩行の設定と凍結路面の設定が全く異なっており、路面状態に応じて外部からの調整作業が必要である。通常の歩行と凍結路面での設定を外部からの調整なしに自動的に設定できる機能が必要不可欠である。
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