評価1 平成8年度に行った予備実験である家兎30羽の脛骨採取に対し、非脱灰薄切標本を作製し、トルイジンブルー染色を行い組織学的観察を行った。アパタイトセメント周囲には良好な新生骨形成が見られた。アパタイトセメントと新生骨の間には介在物がなく、お互いに接触を認めた。また、骨形態計測専用画像処理システムを用い、アパタイトセメント周囲全長に対する新生骨の接触面の周囲長(周長比)を調べ、新生骨の形成能を定量的に評価した。周長比は全例高値を示し、良好な新生骨形成を示した。今回の実験に際し、アパタイトセメントが血液と混和したことにより粘性が低下し、このため操作性低下を認めた。これを改善するためにゼラチンを混和したアパタイトセメントを作成し、同様に家兎20羽の脛骨に埋入し、骨親和性を評価する実験を行っているところである。 評価2 平成8年に行った変形性膝節症に対して、ハイドロキシアパタイト楔形を挿入して行った高位骨切り術後の症例について、内固定材料として用いた金属固定材料であるプレートを抜去する際、前回の手術で挿入したハイドロキシアパタイトブロックと周囲骨を一部摘出した。5症例中2症例にプレート抜去術を施行し、検体を採取し、現在包埋処理中である。包埋完成後、評価1と同様に非脱灰薄切標本を作製、組織学的検討を加える予定である。また残りの3例についてもプレート抜去術を行い、同様に評価する予定である。
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