1. 家兎20羽の頚骨骨幹部にアパタイトセメントを埋入し、1、3、6、12週で5羽ずつ屠殺し、骨幹部における3連続非脱灰薄切標本を作製した。トルイジンブルー染色を行い、組織学的観察及び骨形態計測専用システムを使用し、アパタイトセメント周囲長とそれに直接接する新生骨面の比(周長比)を調べた。3週以降の全ての標本でアパタイトセメント周囲にセメントに介在物なく接する新生骨を認めた。また、周長比は週数の多いもののほど大きかった。この結果より、アパタイトセメントの良好な骨親和性が認められた。今後、より多い週数での骨新生の評価をする予定である。 2. ハイドロキシアパタイトを用いた高位脛骨骨切り術は本年度まで変形性膝関節症の9膝に実施された。これらの術後成績を調査したところ臨床症状における明らかな改善に加え、レントゲン評価においてもアパタイトブロックの破損、変形を認めず、femorotibial angleも良好な矯正角を保っている事が確認された。本年度以降さらに追跡調査を実施しその長期成績を追求する。また内固定除去に伴い術後約1年にて摘出された標本からトルイジンブルー染色を行った非脱灰標本を作成し、光学顕微鏡にてその組織像を観察したところ、異物反応を示す炎症細胞浸潤は認めず、アパタイトと脛骨の境界面において線維組織の介在のない骨組織との直接結合が確認されている。アパタイト内への骨細胞の良好なingrowthも確詔されたがその量的評価については今後さらに術後2、3年を経過した標本との比較検討が待たれる。
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