研究課題/領域番号 |
08557089
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
応募区分 | 試験 |
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
三浦 直行 秋田大学, 医学部, 助教授 (40165965)
|
研究分担者 |
吉田 進昭 大阪府立母子保健総合医療センター研究所, 免疫部門, 部長 (10250341)
寺田 邦彦 秋田大学, 医学部, 講師 (60197796)
|
キーワード | Rb遺伝子 / 癌抑制性遺伝子 / 腎臓癌 / 化学発癌 / トランスジェニックマウス / トランスジーン / HNF1 |
研究概要 |
癌抑制性遺伝子Rbは細胞内の種々の増殖に働く蛋白質に結合しその活性を抑えることにより増殖抑制に働く。肝臓、腎臓、腸に特異的に発現する転写因子HNF1遺伝子のプロモーターの支配下にヒトRb遺伝子を連結し、このコンストラクトを受精卵に微小注射してトランスジェニックマウスを作製した。2系統のマウスが得られた。A系統のマウスはトランスジーンを数十コピー、B系統のマウスは約10コピーのトランスジーンをもっていることがサザン解析の結果判明した。まず、HNF1プロモーターの発現パターンを確認するために、HNF1プロモーターの支配下にLacZ遺伝子を連結させたコンストラクトも同時にトランスジーンとして注射してあるので、LacZの酵素活性染色で胎児期および出生後のHNF1プロモーターの発現がモニターできる。その結果、トランスジーンに用いたHNF1プロモーターは胎児期10.5日から肝臓原基細胞で転写され、胎生12.5日の肝臓では肝細胞に強く発現することが確認できた。また、12.5日では小腸上皮細胞に発現が認められた。胎生13.5日の後腎でも発現が弱く認められ、出生後は腎臓では尿細管細胞にのみ発現が認められた。以上の結果はトランスジーンは内因性のHNF1遺伝子と非常に似た発現パターンを示すことが明らかになった。そこで、まずウエスタン解析により、Rb蛋白の同定を試みた。A系統のマウスでは多量のヒトRb蛋白が、B系統のマウスでは少量のヒトRb蛋白が、コントロールのマウスではヒトRb蛋白は検出できなかった。 トランスジェニックマウスの2系統の特徴が把握できたので、次年度は化学発癌剤による腎臓癌の発生に対するトランスジーンの効果を検定できることになった。特に、多量のRbをもつA系統、少量のRbをもつB系統、コントロールの間で比較検討できるので、好都合の実験系となった。
|