研究課題/領域番号 |
08557106
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
松田 浩一 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (20109458)
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研究分担者 |
飯塚 恵文 (株)日本橋徳力商店, 技術部, 研究員
遠藤 一彦 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (70168821)
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キーワード | Pd合金 / 耐食性 / 動電位分極法 / 鋳造性 |
研究概要 |
口腔内で腐食・変色することなく、かつ鋳造性の良好な鋳造用Pd合金の開発を目的として、Gaを1〜5%添加したPd-25Ag-(18-X)Cu-12Au合金をアルゴン雰囲気中で溶製し、耐食性と鋳造性を評価した。耐食性は、0.9%NaCl溶液中および0.1%Na_2S溶液中にて、動電位分極法で評価した。その結果、本合金系の耐食性は、Gaの添加によりほとんど変化しないことが明らかとなった。Gaの添加が1から5%の範囲内では、耐食性にほとんど影響しないことが確かめられた。したがって、Gaを微量添加したとしても、本合金の耐食性は極めて高く、口腔内で顕著に腐食・変色することはないと結論できる。しかし、最近Pdに対するアレルギー反応がヨーロッパを中心として問題となっていることから、本合金から微量溶出するPdの量を原子吸光法を用いて、詳細に検討する予定である。 本合金の鋳造性は、Ga添加により向上することが、メッシュパターンを用いた鋳造実験によって明らかとなった。これは、主に、Ga添加によって合金の液相点で50〜100℃低下したためと考えられる。 以上の結果から、Pd-25Ag-18Cu-12Au合金にCuと置換するかたちでGaを1〜5%添加することにより、耐食性を低下させることなく鋳造性を向上できることが明らかとなった。今後は、各実験合金の熱処理による組織変化と機械的性質を考慮した上で、最適なGaの添加量を決定し、製品化に向けて合金設計を行う予定である。
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