研究概要 |
光硬化型グラスアイオノマーセメントの象牙質接着性を向上させるために専用プライマーの開発およびその臨床応用手技を確立することを研究の目的とした。すなわち、開発されるプライマーとしては,コンディショナ-(酸液)の機能としてのスミア-層の除去とプライミング機能としての象牙質面の改質を行うものである。その組成としては,HEMA,エタノールおよび機能性モノマーなどの種類と含有率を変えた専用プライマーを試作した。象牙質接着性試験と接着界面の電顕観察について検討が行われた。その結果,プライマーを構成する機能性モノマーとしてリン酸エステルモノマーを用いたものでは,35%HEMA,20%エタノール,5%機能性モノマーの組み合わせが高い象牙質接着性を示した。カルボン酸エステルモノマーを用いたものではこれを4-METAとし,35%HEMA,20%エタノール,5%機能性モノマーの組み合わせが高い象牙質接着性を示した。接合象牙質界面の環境型電子顕微鏡観察では,数μmのセメントマトリクス層が認められた。アルゴンエッチング後の従来型走査電子顕微鏡観察では,表層脱灰象牙質およびセメントとは異なる像を示し,光重合型レジンでみられるハイブリッド層のように観察された。さらにプライマーの構成に架橋材モノマーを混入し界面の構造強化を図り接着性の向上を目的としたプライマーを試作し,接着強さへの影響を検討した。その結果リン酸エステルプライマー,カルボン酸エステルプライマーともに架橋材を混入した効果は認められなかった。
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