研究概要 |
3価のリンであるジエチルホスファイトを脱離基として組み込んだ糖供与体を基盤とするグリコシル化反応が、極めて高い立体選択性のみならず極めて緩和な反応条件の設定を可能にすることが分かった。以下に具体的成果を記す。 1.緩和な反応剤であるBF_3・OEt_2を用い-78℃下、2位の隣接基関与を伴わない系において文献上知られる最も高い立体選択性で1,2-トランス-β-グリコシドを生成することを見いだした。さらに、2位の隣接基関与を伴わなう系においてもTMSOTfを用い-50℃下、1,2-トランス-β-グリコシドのみを高収率で与えることが分かった。 2.TMSOTfを用い-94℃下、抗がん性含糖抗生物質合成に不可欠な2-デオキ-β-グリコシドの直接的かつ立体選択的な構築を達成した。 3.TMSOTfを用い-50℃下、4,6-O-ベンジリデンアセタールで保護したマンノースを用いることにより、現在最も困難な課題とされる1,2-シス-β-マンノシドの直接構築に成功した。 4.反応剤としてヨウ化2,6-ジ-tert-ブチルピリジニウムを開発することにより、1,2-シス-α-グリコシドの立体選択的構築を達成した。
|