研究課題/領域番号 |
08557125
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉山 雄一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (80090471)
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研究分担者 |
千葉 寛 千葉大学, 薬学部, 教授 (40159033)
滝川 一 帝京大学, 医学部, 助教授 (70197226)
加藤 将夫 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (30251440)
鈴木 洋史 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (80206523)
寺崎 哲也 東北大学, 薬学部, 教授 (60155463)
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キーワード | 薬物代謝 / 肝ミクロソーム / P450発現系 / 輸送担体 / 肝取り込み / 胆汁排泄 |
研究概要 |
1.ヒト肝ミクロソームあるいはP450発現系を用いたin vivo薬物肝代謝能の定量的予測 CYP3A4で代謝されるYM796について、ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro代謝試験によりKmおよびVmaxを算出し、代謝の非線形性を考慮したdispersion modelに基づいて肝初回通過のアベイラビリティを算出した。別に算出した吸収率や腎クリアランスの値を用いて経口投与後のAUCを予測した結果、実測値とほぼ対応する結果が得られた。また、ヒトCYP3A4のリンパ芽球様細胞への発現系を用いてYM796の代謝試験を行い、得られたパラメータKm,Vmaxおよび各ミクロソームの持つCYP3A4含量を基に予測した代謝クリアランスは、ヒト肝ミクロソームを用いた代謝試験での実測値と比較的良く対応することが示された。P450発現系から肝ミクロソーム、あるいはin vitro試験からin vivo肝代謝能の予測性がP450isozymeにより異なる可能性について、現在検討中である。 2.輸送担体の発現系を用いた薬物の肝取り込みおよび胆汁排泄機構の評価 ラット肝臓の血管側膜上の胆汁酸・有機アニオン輸送担体であるNa^+-taurocholate cotransporting polypeptide(Ntcp)あるいはorganic anion transporting polypeptide(oatp)を発現させたCOS細胞および初代培養肝細胞への各種リガンドの取り込みを比較し、肝細胞への取り込みにおける各輸送担体の寄与を見積もった。また、胆管側膜上の有機アニオン輸送担体であるcanalicular multispecific Organic anion transporter(cMOAT)をNIH/3T3細胞に発現させた系において、cMOATの基質として知られるDNP-SGのATP依存性の取り込みが有意に上昇することを確認した。今後、このような発現系を用いて輸送実験を行い、得られた結果を輸送担体の発現量で補正することにより、ヒトにおける薬物の肝取り込みあるいは胆汁排泄能の定量的予測が可能になると考えられる。
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