体腔内ESR内視鏡は、基本的には内視鏡とサーフェスコイル型のESR装置との組み合わせた構造の医療機器である。この測定装置は、人の体に無侵襲的に挿入することができ、このシステムの内視鏡機能により体内の臓器などを画像として観察しながら、その一方でESRコイルによって目的とする組織でのESRスペクトルをリアルタイムで観測してフリーラジカルに関する情報を得ることができるという特色を持っている装置です。本年度は、以下に示した測定装置の基本構成部について検討を行った。 1.ESR内視鏡プロトタイプの試作、改良:本年度はESRループコイルシステムの改良を行った。主な改良点は、ループコイルの形状並びにマイクロ波共振システムの導入で、ループ型コイルは静磁場におかれた時にESRシグナルが磁場方向に角度依存性を示すために、ループコイルの向きを自由に可変できる構造に改良した。また、ループコイルとマイクロ波の接合に共振システムを導入し、LC回路の採用により安定した共振が得られるようになった。 また、内視鏡システムのCCDカメラの画像ノイズを軽減させるために、新規素材同軸ケーブルを採用しノイズを軽減させることができ、CCDカメラの画素数を50万画素から81万画素まであげることが可能となった。 2.動物実験について:人の胃を模擬したファントムを用い、動物実験を行う前段階の実験として酸素濃度の測定実験、並びにフリーラジカル捕獲実験を行った。本年度は酸素濃度測定用ループコイルを試作し、またフリーラジカル捕獲用ループコイルとして高分子スピントラップ剤で加工したループコイルの性能試験を行った。
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