研究課題/領域番号 |
08557128
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
渡辺 和夫 千葉大学, 薬学部, 教授 (80019124)
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研究分担者 |
矢野 眞吾 千葉大学, 薬学部, 教授 (90009655)
中川 晶子 千葉大学, 薬学部, 教授 (40009171)
山崎 幹夫 千葉大学, 薬学部, 名誉教授
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キーワード | 1-置換-テトラヒドロ-β-カルボリン / 不斉Picter-Spengler反応 / 酢酸ライジング抑制活性成分 / オピオイド受容体 / 鎮痛作用 / 身体依存性 / MAO阻害活性成分 / インドールアルカロイド |
研究概要 |
脳機能改善薬、抗痴呆薬のリード化合物としてのβ-カルボリン類に注目して、薬品合成化学班は新規β-カルボリンの分子設計、天然物化学班は高次機能に作用する新たなる天然物の検索、薬理班は高次機能評価系の確立および得られた化合物の薬効評価を行った。研究成果を次の3点にまとめた。(1)薬品合成化学班:これまでニトロンを用いるエナンチオ選択的不斉Pictet-Spengler反応によりβ-カルボリン合成法の開発を検討してきた。半経験的分子軌道法を用いる遷移状態の検討により、エナンチオ選択性発現の機構を明らかにした。反応の触媒化について検討し、トリメチルクロロシラン存在下における反応で、触媒活性が増加した。さらに種々の添加剤の反応速度、エナンチオ選択性への影響を検討した。(2)天然物化学班:子嚢菌Anixiella micropertusa等からMAO阻害活性成分を、Microascus tardifaciens等から免疫抑制活性成分を単離した。また、ペルーの鎮痛伝承薬Hierba Santa(Cestrum hediondinum、C.auriculatum)から酢酸ライジング抑制活性のβ-カルボリン化合物等を単離したほか、漢方薬、防風(Saposhnikovia divaricata)、浜防風(Glehnia littoralis)からも昨年度に引き続き鎮痛活性成分を単離した。(3)薬理班:タイ国においてアヘン様に用いられている民間薬kratomにオピオイド作用を見出し、その含有アルカロイドミトラガイニンにミューおよびデルタ受容体を介する強力な鎮痛作用を発見した。さらに、これをシードとして合成した化合物の中からオピオイド受容体における競合的拮抗薬、部分活性薬を見出すことができた。これら構造活性相関的見地から、ミトラガイニンの7位メトキシ基がオピオイド活性発現に重要な因子であることが判明した。これら新規化合物を用いて、鎮痛作用と身体依存性の中枢機構を解析した。
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