研究概要 |
IRRがTrk Aとともに,前脳基底野のコリン作動性ニューロンに特異的に発現していることから,IRRのリガンドは脳内で,NGFと同様に,前脳基底野のコリン作動性ニューロンに対する神経栄養因子として作用していると期待される。しかし,IRRはインスリン,IGF-I,IGF-II,リラキシンなどの既知のインスリンファミリーペプチドとは結合せず,IRRのリガンドは不明である。一般的に,リガンドが未知である受容体(Orphan 受容体)のリガンドを同定する方法論は確立していない。従って,本研究では,受容体結合能を指標にした新しいリガンドの検索法を確立のための基礎的な検討を行った。その結果下記の点が明らかになった。 1.ラットインスリン受容体及びIRRの細胞外領域のみをコードするcDNAをPCR法により増幅し,バキュロウイルスベクターに組み込ませる。上記の組換えウイルスベクターを昆虫細胞High Five細胞に感染させ,インスリン受容体,IRRの細胞外領域を高発現させた。 2.インスリン受容体細胞外領域を高発現している細胞抽出液から,アフィニティカラムクロマトグラフィー法により細胞外領域を精製した。インスリンを固定したELISA法により,インスリン受容体細胞外領域とインスリンとの結合の検出に至適な条件を見い出した。
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