研究課題/領域番号 |
08557145
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 試験 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橋田 充 京都大学, 薬学部, 教授 (20135594)
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研究分担者 |
吉村 了勇 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (00191643)
高倉 喜信 京都大学, 薬学部, 助教授 (30171432)
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キーワード | 臓器移植 / 免疫抑制剤 / 化学修飾 / 高分子化プロドラッグ / 細胞傷害 / 活性酵素 / SOD / マクロファージ |
研究概要 |
近年、従来の薬物療法や外科治療の限界を打ち破る方策として臓器移植が脚光を浴び、肝移植を初めとして治療成績が積み重ねられている。しかしながら、対象臓器によっては移植後免疫応答やラジカル産生によって移植臓器が障害を受け移植が不成功に終わる場合も多い。移植後の組織傷害を防ぐ目的で、現在拒絶反応コントロールのためには免疫抑制剤の投与が行われ、またラジカル産生などの抑制を目的としてラジカル消去剤の利用が試みられているが、未だ効果に特異性が少なく、投与法のさらなる改善が強く求められている。本研究では、臓器移植における細胞傷害性を軽減できる方法論を確立することで、こうした問題を解決することを目的に、免疫抑制剤およびスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)を取り上げ、これらに分子構造修飾を施した種々の誘導体の開発を試みた。本年度は、SODを中心に検討を進め、糖構造を導入あるいは電荷を改変した種々の誘導体を開発したが、高い酵素活性を保持した誘導体の合成が可能であることが明らかとなった。細胞傷害の予防薬あるいは治療薬としての可能性を検討する目的で、活性酵素の発生源として重要な役割を果たすマクロファージにおける細胞取り込み特性を共焦点レーザー顕微鏡を用いて検討した。その結果は、修飾方法を選択することによりSODの細胞内動態を制御できることが明らかとなった。さらに各誘導体は、未修飾SODに比較し優れた活性酵素消去能を有することも併せて示された。一方、免疫抑制剤の誘導体に関しても、高分子化プロドラッグ合成のための種々の基礎条件を固めることができた。以上のように、本研究で開発した免疫抑制剤およびラジカル消去剤の誘導体は、臓器移植時の細胞傷害性を回避することのできる有力な治療薬となる可能性が示された。
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