研究課題/領域番号 |
08557148
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 国立小児病院(小児医療研究センター) |
研究代表者 |
辻本 豪三 国立小児病院, 小児医療研究センター・小児薬理研究部, 部長 (80172013)
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研究分担者 |
高田 達之 国立小児病院, 小児医療研究センター・小児薬理研究部, 重点研究支援協力員
武井 義則 国立小児病院, 小児医療研究センター・小児薬理研究部, 重点研究支援協力員
平澤 明 国立小児病院, 小児医療研究センター・小児薬理研究部, 研究員 (70242633)
伊藤 修司 大塚製薬株式会社, 徳島新薬第二研究所, 研究員
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | G蛋白質共役型受容体 / α1アドレナリン受容体サブタイプ / 細胞内情報伝達機構 / クローニング / 可視化技術 / 共焦点顕微鏡 / 細胞内局在 |
研究概要 |
G蛋白質共役型受容体は一つの遺伝子ファミリーを形成する。本研究では、ヒトの新規受容体サブタイプ遺伝子をクローニングし、培養細胞に受容体遺伝子を導入・発現させた安定発言細胞体を作製し、その単一受容体発現細胞を用い受容体サブタイプの細胞内情報伝達機構を解析、更に特異的な作動薬、枯抗薬を開発し、また得られた特異的薬物を用い、生体内標的臓器における各受容体サブタイプの生理作用を検討する事を計画した。具体的には、近年複数のサブタイプが存在することが知れてきているα1アドレナリン受容体をモデル系として用い、この創薬ストラテジーの検証・確立を目的とした。【研究方法】ヒトα1アドレナリンサブタイプ受容体遺伝子をすべてクローニングし(a,b,d型)、各受容体を安定発現する細胞を作出した。各種薬物の薬理特性は結合実験と細胞内カルシウムイオン濃度測定により比較した。【結果】各種サブタイプ受容体遺伝子をヒトでクローニングし、その遺伝子安定発現細胞を作成し、受容体構造、情報伝達機構を検討した。更に、これらα1アドレナリン受容体サブタイプ受容体安定発現細胞を用いて、各種α1アドレナリン受容体選択的拮抗薬をスクリーニングし、新規α1Aアドレナリン受容体選択的括抗薬KMD-3413を見出した。更に、CECが極めて親水性の高い特性から、細胞膜表面の受容体のみを不活化するとの仮説に基づき、α1A受容体ならびにα1B受容体遺伝子のN端にFLAG-tag、またはC端にGreen Fluorecent Proteinを組み込んだ受容体遺伝子を作製し、蛍光抗体ならびに蛍光リガンドを用いフローサイトメトリー解析、共焦点顕微鏡による画像解析を行い、α1A受容体は主として細胞内に、α1B受容体は細胞膜表面に多く存在すること、又親水性の高いCECはサブタイプに関わらず、細胞表面に存在するα1アドレナリン受容体蛋白を不活化し、各サブタイプ受容体蛋白の細胞内局在の相違がCEC感受性を決定していることを明らかにした。 【考察】ヒトの3種類のα1アドレナリン受容体(A,B,D型)をクローニングし、安定発現細胞を用い新規α1Aアドレナリンの受容体選択的括抗薬KMD-3413を見出した。また、共焦点顕微鏡を用いた、受容体の細胞内局在検出系による可視化技術を確立し、受容体蛋白の細胞内局在が薬物作用を考える上で非常に重要であることを示した。【結論】本研究では、G蛋白質と共役する受容体の代表であり、近年複数のサブタイプが存在することが知れてきている。α1アドレナリン受容体をモデル系として用い、一般的創薬へのストラテジーを検証・確立することを目的としたが、この方法論により実際治療に役立つと考えられる薬物のスクリーニングが可能であることが証明された。また、α1受容体サブタイプの生理的意義を知り、受容体蛋白の細胞内部在等を解析する可視化細胞生物学アプローチにより薬物治療上有用な情報が得られることが期待される。
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