1996 年度実績報告書

抗原構造破壊を基盤とする低アレルゲン化小麦粉製造工程の確立と製品の加工

研究課題

研究課題/領域番号	08558001
応募区分	試験
研究機関	東京学芸大学
研究代表者	渡辺道子東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90107409)
研究分担者	田辺創一東京学芸大学, 教育学部, 助手 (90272624) 川端潤北海道大学, 農学部, 助教授 (60142197)
キーワード	低アレルゲン化小麦 / 低アレルゲン化パン / 小麦アレルギー / ハプテン
研究概要	コラゲナーゼ処理による低アレルゲン化小麦粉作製法を既に開発しているが,より実用的な酵素を検索し,低アレルゲン化小麦粉作製の工程を改良することを第一の目的とした。食品加工用酵素の中からアミラーゼ活性が低くコラゲナーゼ様活性の高いものを検索し、ブロメラインを選んだ。対粉2%のブロメラインを小麦粉に添加し、対粉0.6加水、37℃で4時間処理した。IgE-ELISA法により処理小麦粉の抗原性を評価したところ、検出限界以下であった。生成物のレジストグラムおよびファーモグラムより生成物はバッター状であるが、二酸化炭素保持能を有しており、製パン可能と判定された。ブロメライン反応物に対粉1%の食塩、1%のグルコース、1.3%のクエン酸、10ppmのソルビタン・モノステアレートおよび2%の炭酸水素ナトリウムを添加して製パンしたところ、嗜好的にも非常に良好な製品が得られた。研究の第二の目的は、小麦粉の主要アレルゲンを単離・同定し、アレルゲンをより低分子化してハプテン作用をもつペプチドを作製することである。主要アレルゲンはSQQQ(Q)PPFの繰り返し構造をもっており、N末端から2番目のQと2個のP残基がアレルゲン性発現に必須であった。これらの必須アミノ酸残基を温存したまま低分子化できる酵素をスクリーニングしたところ、キモトリプシンが最適であった。グルテンにこの酵素を作用させ、水解物をゲルロ過して得られた分子量1000以下のペプチド画分はIgEとは相互作用したが、好塩基球からヒスタミンを遊離させなかった。このことから得られたペプチド混合物はハプテンとしての機能を有し、小麦アレルギーの予防および治療に有用であると結論した。

研究成果

(7件)

すべてその他

すべて文献書誌 (7件)

[文献書誌] M.Watanage and S.Arai: "Cereal allergy and countermeasures : an overview from the standpoint of food science and technology" Food Sci. Technol. Int.2・1. 10-15 (1996)
[文献書誌] S.Tanabe,S.Arai,Y.Yanagihara,H.Mita,K.Takahashi and M.Watanabe: "A major wheat allergen has a Gln-Gln-Gln-Pro-Pro motief identified as an IgE-binding epitope" Biochem. Biophys. Res. Commun.219. 290-293 (1996)
[文献書誌] S.Tanabe,S.Tesaki,Y.Yanagihara,H.Mita,K.Takahashi,S.Arai and M.Watanabe: "Inhibition of basophil histamin release by a haptenic peptide mixture prepared by chymotryptic hydrolysis of wheat flour" Biochem. Biophys. Res. Commun.223. 492-495 (1996)
[文献書誌] S.Tanabe,S.Arai and M.Watanabe: "Modification of wheat flour with bromelain and baking hypoallergenic bread with added ingredients" Biosci. Biotech. Biochem.60・8. 1269-1272 (1996)
[文献書誌] 田辺創一: "小麦アレルギーと低アレルゲンパンの開発" ジャパンフードサイエンス. 1997・1. 29-31 (1997)
[文献書誌] 田辺創一、渡辺道子: "低アレルゲン小麦粉でパンを焼く" バイオサイエンスとインダストリー. 54・7. 38-39 (1996)
[文献書誌] 渡辺道子、田辺創一: "食品アレルギーハンドブック低アレルゲン性食品の開発、米、小麦(分担執筆)" サイエンスフォーラム, 9 (1996)

1996 年度 実績報告書

抗原構造破壊を基盤とする低アレルゲン化小麦粉製造工程の確立と製品の加工

研究代表者

渡辺 道子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90107409)

研究成果

[文献書誌] M.Watanage and S.Arai: "Cereal allergy and countermeasures : an overview from the standpoint of food science and technology" Food Sci. Technol. Int.2・1. 10-15 (1996)

[文献書誌] S.Tanabe,S.Arai,Y.Yanagihara,H.Mita,K.Takahashi and M.Watanabe: "A major wheat allergen has a Gln-Gln-Gln-Pro-Pro motief identified as an IgE-binding epitope" Biochem. Biophys. Res. Commun.219. 290-293 (1996)

[文献書誌] S.Tanabe,S.Tesaki,Y.Yanagihara,H.Mita,K.Takahashi,S.Arai and M.Watanabe: "Inhibition of basophil histamin release by a haptenic peptide mixture prepared by chymotryptic hydrolysis of wheat flour" Biochem. Biophys. Res. Commun.223. 492-495 (1996)

[文献書誌] S.Tanabe,S.Arai and M.Watanabe: "Modification of wheat flour with bromelain and baking hypoallergenic bread with added ingredients" Biosci. Biotech. Biochem.60・8. 1269-1272 (1996)

[文献書誌] 田辺創一: "小麦アレルギーと低アレルゲンパンの開発" ジャパンフードサイエンス. 1997・1. 29-31 (1997)

[文献書誌] 田辺創一、渡辺道子: "低アレルゲン小麦粉でパンを焼く" バイオサイエンスとインダストリー. 54・7. 38-39 (1996)

[文献書誌] 渡辺道子、田辺創一: "食品アレルギーハンドブック 低アレルゲン性食品の開発、米、小麦(分担執筆)" サイエンスフォーラム, 9 (1996)

1996 年度実績報告書

渡辺道子東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90107409)

[文献書誌] 渡辺道子、田辺創一: "食品アレルギーハンドブック低アレルゲン性食品の開発、米、小麦(分担執筆)" サイエンスフォーラム, 9 (1996)