研究課題/領域番号 |
08558002
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
家政学
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
河合 弘康 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (80026525)
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研究分担者 |
磯部 由香 奈良女子大学, 生活環境学部, 助手 (80218544)
横井川 久己男 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (60230637)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 微生物多糖 / 酸性ヘテロ多糖 / Bacillus circulans |
研究概要 |
本研究は、われわれが土壌から分離した一細菌が生産する新しい微生物多糖の機能特性を明らかにし、それを食品分野へ利用することを最終目的として行ったものである。本申請者らは、グルコースを炭素源とする培地中に高い粘性を示す多糖を生産する細菌を土壌から分離し、同細菌をBacillus circulansと同定するとともに、同細菌が生産する多糖がラムノース、ガラクトース、マンノースおよびグルキュロン酸を構成糖とする新規の酸性ヘテロ多糖であることを明らかにした。次に、本多糖の最適生産条件ならびにその回収・精製方法等について検討し、炭素源として1%グルコース、窒素源として0.05%アスパラギンおよび少量の酵母エキス、無機塩類からなる最適生産培地を確立した。また、本多糖の最適生産条件を培養温度、時間、通気量、接種量などについてフラスコおよびジャーファーメンターを用いて検討した結果、1%グルコースを含む培地1Lあたり、30℃、48時間培養で最大約2gの多糖を生産することができた。培地中の多糖の分離ならびに精製方法については、界面活性剤による多糖複合体の形成、同複合体の塩化ナトリウム溶液による溶解、ついでエタノール添加による多糖の沈殿操作が適していることを明らかにした。本多糖の化学構造を酸加水分解、メチル化分析、^1H-NMRなどで検討した結果、主鎖が→3-α-D-GlcUAp1→2-α-D-Manp1→3-α-D-Galp1→で、GlcUAの4位にβ-Rhapが結合している構造であることが明らかとなった。本多糖の粘性特性、pH安定性、熱安定性、乳化特性、保水性などについて既知の多糖類と比較した結果、本多糖が高い粘性とすぐれた保水性、乳化性、フィルム形成能を持つことを明らかにした。本研究は、新しい微生物多糖の工業生産ならびにその食品分野等への利用の可能性を示唆しており、その実用化にむけた今後の研究が期待される。
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