研究課題
学校教育分野におけるコンピュータネットワークの本格的普及に備え、100校プロジェクト等、いくつかの研究が実施されてきた。しかしながら、こうしたプロジェクトの多くは単なる実践事例の積み上げにとどまり、全国の学校にネットワークの教育利用を展開するための基礎データを集積して、技術、コスト、制度、教員の資質等、いずれの点でも実現可能な代替案を提案し評価するという政策的な目的を有しなかった。そこで本研究では、(a)ネットワーク利用の教育的効果、(b)インターネットと校内ネットワークとの組合せ方、(c)外部接続のための運営組織とネットワークトポロジー、(d)外部接続時の通信手段の選択、(e)ネットワーク構築・運営に関する初等中等教育機関と高等教育機関との効果的な協調連携関係について、ネットワークの教育利用に関する代替案を作成評価することとした。本年度は、引き続き、リアルタイム・マルチメディア・コミュニケーション手段の必要性について検討した。いくつかのTV会議システムの利用方法とその効果を比較するため、ISDNによる学校と学校の直接接続、インターネットを経由した接続、CATV網の利用などを検討した。ネットワーク構築・運営に関する初等中等教育機関と高等教育機関との効果的な協調連携関係について調査するため、ある学校のインターネット導入にあわせ、参加型観察を実施した。すなわち、インターネット導入からホームページ公開、そして国際交流をはじめとする遠隔共同授業の実施にいたるまでのサポートを行いながら、その過程で生ずる問題点を分析し、その対策を検討した。また、効果測定研究としては、インターネット実践校を対象に、こどもの標準学力、心理的変化を多角的に測定分析した。評価に際しては、インターネット・マルチメディアの光と陰の両側面に着目することとした。なお、本年度は最終年度にあたり、研究成果報告書およびCD-ROM版別冊の刊行を予定している。
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