研究概要 |
論理回路最適化システムの性能評価のため,簡単な初期回路から回路の等価性を保存する基本変換をランダムに繰り返すことにより複雑なテスト回路を生成するという手法を用いたランダムベンチマーク集合生成システムの開発を行った.8年度は以下のような成果を得た. 1.回路の重要な属性であるゲートの種類と入出力次数の制御に関しては,入力次数をκ(κ【greater than or similar】2)に制限したNANDゲートのみからなる回路を生成できる完全なルール集 2.論理回路が実現する論理関数は初期回路によって定まる.我々は,素項をランダムに生成する手法を採用することによりランダム初期回路の生成システムを実現した.これにより,オンセットのサイズ(関数値が真になる割合)や関数の回路理論的複雑さを制御可能であるようなランダム初期回路生成システムを得ることができた. 3.実働化を行い代表的な論理最適化システムであるSISとトランスダクションの評価作業を行った.実働化に際しては,上記ランダム初期回路生成システムの評価及び制御すべき属性のさらなる充実のため,初期回路をMCNC標準ベンチマークとした回路との比較を行った.これにより,SISおよびトランスダクションにとって,ランダム初期回路より生成された回路の方がMCNCベンチマークを用いたそれと比べてより最適化が難しいとの感触を得た. 上記の結果は1997年のEuropean Design & Test Conference会議で発表予定である.生成システムの開発はまだ第一段階であり,システムの完成と最適化システムの本格的な評価作業は9年度の課題としたい.
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