研究概要 |
平成10年度は3つの側面から,心のケアマニュアルの完成を最終目標に置いて,検討を行った.第1は,被災者ケアプログラムである,ここでは平成9年に国際トラウマストレあス学会で発表した成果を踏まえて,被災者の支えになったものが震災前からの人間関係の豊かさによって規定されており,震災後に登場した心のケアの専門家による直接的な影響力は小さい事実に着目した.その結果,心のケア専門家の主たる役割を被災者への直接的なケアとするのではなく,地元にいて日常被災者と接触し,さまざまな面でリーダーとなるローカルゲートキーパーへの啓発を主体としたプログラムの開発を試みた,第2は災害対応に従事する人々を対象としたケアプログラムである.地元の行政や公益事業者,さらに他地域の応援などで災害対応に従事する人.あるいはボランティアとして被災地で活動する人たちのバーンアウト予防を目的としたストレスケアプログラムの開発を試みた.第3はケアプログラムのマネージメントのためのプログラムである.そうした個別ケアプログラムを災害対応の流れに即して展開し,10時間,100時間,1000時間という被災地の状況変化を踏まえて,ケア活動全体の後方支援するためのプログラムの開発を行った.現時点では,これらの成果のとりまとめにあたっている.
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