研究課題/領域番号 |
08558048
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
エネルギー学一般・原子力学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宇津呂 雄彦 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (50027421)
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研究分担者 |
足立 達也 明昌機工株式会社, 開発グループ, 研究技術職
難波 宏邦 住友電気工業株式会社, 光学部品開発室, 室長
海老沢 徹 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (30027453)
川端 祐司 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (00224840)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 超冷中性子 / 中性子鏡 / 貯蔵ボトル / 超精密研磨 / ステンレス鋼 / 量子物理 |
研究概要 |
1.まず、中性子のベータ崩壊特性等の物理的性質を解明する実験研究に極めて有利な特徴を有する超冷中性子貯蔵ボトルの最適設計の研究を行い、中性子崩壊粒子を測定分析する検出器を開発してその性能を明らかにすることにより、中性子崩壊実験用中性子貯蔵ボトルの基本構造を示すことができた。その成果はJ.Phys.Soc.Japan,Suppl.Aに論文として発表した。 2.このような中性子崩壊実験用高性能ボトルを実現するため、現在の技術で最も高精度の精密金属加工による光学的表面を有する金属鏡の具体的製作方法として、ダイヤモンド精密研削加工と電解複合精密研磨加工について比較検討した。 3.その結果、ダイヤモンド精密研磨は研削加工線幅内では数nmの表面粗さの達成が可能であるが、大きな凹凸の加工線間境界部が周期的に成され、またステンレス鋼等の硬質材には不向きであること、一方複合研磨は電解条件と機械研磨条件の多様な組み合わせにより高度の超精密研磨が可能であり、且つ大面積の硬質材でも実用的な加工速度を有することが判り、これらの成果に基づき、ボトル条件の最適化に関してKURRI Prog-ressreport及び学術講演会に発表した。 4.精密研磨超冷中性子ボトルにおける中性子全反射の新しい特性について、理論的解明を行い、Phys.Lett.A及びPhys.Rev.Bに発表した。 5.これらの研究成果に基づき、電解複合精密研磨のSUS材金属鏡を試作し、これらの中性子反射性能の精密測定を実施した。その結果は「波紋」1997年5月号に報告した。 6.これらにより、超冷中性子ボトル用鏡製作に最適な電解複合精密研磨の加工条件が明らかになった。この結果に基づき、中性子崩壊ボトルの中性子貯蔵性能の数値解析を行い、ボトルの構造として円筒型ボトル・接線入射構造を決定し、内径50cm、長さ60cmの大容積超精密研磨SUS310S鏡製中性子ボトルを製作した。これらの進展の成果をJHP'98 Workshopにおいて発表した。 7.製作したSUS製ボトルを京都大学研究炉のスーパーミラータービン式超冷中性子実験設備の超冷中性子実験孔に取り付け、ボトルの特性を実測し、中性子物理研究への応用実験におけるその性能を明らかにした。
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