研究課題/領域番号 |
08558052
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
八坂 保能 京都大学, 工学研究科, 助教授 (30109037)
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研究分担者 |
百田 弘 京都大学, 核融合科学研究所, 教授 (10023714)
久保 寔 京都大学, 工学研究科, 助手 (80089127)
石川 本雄 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90109067)
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キーワード | 核融合 / ヘリウム3 / 直接エネルギー変換 / プロトンビーム / 高周波進行波 / カスプ石並場 |
研究概要 |
本研究は、ヘリウム3燃料核融合反応出力を直接電気エネルギーに変換する新しい方式である進行波型直接エネルギー変換を実験的に原理実証することを目的としている。本年度は、昨年度に試作したイオンビーム源7MHzの高周波電圧による速度変調器、および高周波進行波を印加した減速電極系より構成される直接エネルギー変換実験装置により、エネルギー変換の実験を行なうとともに、数値シミュレーションの計算方法を改良し、昨年度の2次元コードをより精密にしたコードによって核融合炉を想定した計算を行なった。実験においては、Heプラズマから引き出した2〜5KeVのビームに、7MHz、数百Vの速度変調電圧を印加することにより理論で予想される位置において最大のバンチングが生じ、ビームが速度変調から密度変調へ移行していることが示された。この密度変調されたビームが減速電極系へ流入すると、電極系に接続された高周波伝送回路に電圧が自己励起され、しかもその電圧は、ビームの速度が伝送回路の位相速度に一致するとき最大になることが分かった。これは、ビームが減速電極系と正しく相互作用していることを表している。誘起された電圧値は、本研究で開発された理論モデルによる予測値と良く一致している。伝送線路に外部から高周波電圧を加えて励起進行波とビームとを相互作用させビームの減速効果すなわちエネルギー変換率を測定した。その結果、減速電極が4枚の場合変換率10%、8枚の場合 14%を達成し、進行波型直接エネルギー変換が可能であることが実証された。シミュレーション研究では、イオンビームの軌跡と、伝送回路の動作を自己無撞着に解析できる2次元コードにより種々の条件におけるエネルギー変換率を得ることが可能になった。これにより核融合炉における直接エネルギー変換器の最適設計ができる。
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