研究課題/領域番号 |
08558054
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
核融合学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
百島 則幸 九州大学, 理学部, 助教授 (80128107)
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研究分担者 |
松井 清明 (株)九州松下電器, 主任研究員
松岡 信明 (財)九州環境管理協会, 主任研究員
岡井 富雄 九州大学, 工学部, 講師 (50150488)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | トリチウム / シリコンチューブ / 除去装置 / トリチウムガス / 水素細菌 / 微生物酸化 |
研究概要 |
大量のトリチウム(T)が核融合炉では燃料として使用される。安全を確保するためにトリチウム除去システムが必要であるが、本研究は水素ガス酸化能力を持つ水素細菌を用いる全く新しいシステムの開発を目指した。 【結果の概要】 土壌から水素酸化能力を有する微生物を、1週間程度の純粋培養により取り出すことに成功した。この乳黄色の菌の凝集物を含む培養液は、冷蔵保存が可能で、継代培養を行うことができた。バッチ法で水素ガスの酸化能力を菌の増殖期、定常期で調べたところ、酸化活性に差はあるが、いずれの期でも有効な活性を示した。トリチウムガスに対する菌の酸化性を調べたところ、トリチウムガスも速やかに水に変化されたことから、これらの菌はトリチウムガスを含む水素をエネルギーとして利用する独立栄養細菌と考えられる。トリチウム除去システムでは、回収したトリチウム水を含む液相とトリチウムガスを含む気相が分離されていると相互の汚染がなく有効なシステムとなる。そこで、シリコン膜などのチューブを介して、液相と気相を接触させ、気相のトリチウムガスを液相に拡散除去するシステムについて検討した。シリコン、テフロン、ポリエチレンではシリコンが最も早い除去速度を示した。以後はシリコンチューブについて検討した。チューブの本数を多くすると、接触面積が増加し除去速度は大きくなった。速度は面積に比例した。チューブの厚みは除去速度に違いを与えなかった。これは、チューブへのトリチウムガスの溶解が透過を支配しているためと考えられる。すなわち、液相面でトリチウムガスは速やかに微生物により酸化除去されるので、シリコンへのトリチウムガスの溶解量が主因子となっている。気相の流速は除去速度を変化させた。流速が遅いと除去速度は低下し、流速が大きくなると除去速度は増加し、飽和する傾向を示した。これは気固界面(気相-シリコン)におけるトリチウムガスの拡散が溶解速度を規定しているためと思われる。流速が早いと乱流層が発達し効率よくトリチウムガスがシリコン面に到達するためと考えられる。 高濃度のトリチウムガスの除去には従来の高温酸化型の除去システムが利用されるであろうが、湿分が高い、広い空間(例えば核融合炉の建屋)のトリチウムガスの除去に本システムは有効と言える。本システムの特徴は室温で反応が進むことと、ポンプを駆動させるだけの少量の電力を必用とすることである。
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