研究概要 |
研究最終年度の本年は,これまでに構築したシステムを実海域でテストし,その運用試験を行なった.本システムは,平衡器に気体透過膜を用いて,軽量・小型化・小電力化に成功した.重量は30kg,大きさは50cmx50cmx50cm,電力消費量は300Wで,小型のボートに載せ,小型のジェネレーターで駆動し測定することが可能である.さらにシステムの安定性もCO_2濃度0-1000ppmの範囲で±5ppmと,沿岸域における大きな濃度変動を考えれば実用として十分である.本システムの妥当性を確認するために,本年は現場において同じラインの海水を用いて,気泡-スタティックミキサー平衡器との比較を行なった.その結果,両平衡器による測定結果は高CO_2濃度時に最大20ppm程度ずれるが,これは気泡-スタティックミキサー平衡器が船の振動によって圧力変動を生じ,外部大気の混入が起こるためであることが明らかになった.以上から,3年間の開発によって,気体透過膜-NDIR法による沿岸域の実用CO_2計測システムの基本設計とその試験に成功した.現在,その汎用化・商業化を進めている.
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