水環境中の変異原性物質を短期にかつ簡易に測定する自動分析法の開発を試みた。バクテリアアッセイであるumu testはSalmonella typhimuriumを用いるが、この操作をフロー式反応装置を用いて組み立てることとした。冷凍菌体を前培養後、本培養した菌体をポンプでインジェクトし、生物反応を水浴中で2時間、チューブコイル内で行った。これに酵素基質をさらに注入し、15分の反応後、吸光度計により、遺伝毒性の強さを定量した。 本年度はこの基本フローを組み立てるとともに、以下の検討を行った。 1)細胞破砕のためにクロロホルムを添加していたが、これを界面活性剤SDS1mg/Lで可能なことがわかった。 2)細胞破砕時の胸郭班を省略できることがわかった。 以上の事柄はフロー式反応装置を簡単なものにする上で必要な情報となった。 3)酵素活性の測定時に、フロー式で検討したが、陽性対象物質で用量作用曲線が得られ、フロー式による測定が可能となった。 4)さらに変異原性試験の特徴に、試料投与時の菌体濃度を試験ごとに統一させておく必要があるが、新しい基質をフローの中に与えることにより、菌体を新鮮な状態に保つことができることがわかった。 現在、吸光度のデータをパソコン内に取り込み、デジタルデータ化する制御機構の検討を続けている。
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