研究課題/領域番号 |
08558061
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
白山 義久 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60171055)
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研究分担者 |
竹内 和久 三菱重工, 長崎研究所, 研究員
藤岡 祐一 三菱重工, 長崎研究所, 主務(研究職)
北里 洋 静岡大学, 理学部, 教授 (00115445)
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キーワード | 高圧飼育実験装置 / 深海生物 / バイオモニタリング / 線虫類 / 有孔虫類 |
研究概要 |
今年度は最終年度として、炭酸ガスの生物影響に関するバイオモニタリング法の確立を目指し、様々な炭酸ガスの条件で、各種の海洋生物を飼育しその影響を明らかにした。ただし、当初の目標の一部であった深海生物の高圧条件の実験条件の設定については、平成10年9月20日に、高圧飼育設備が台風7号により壊滅的な被害を受けた為、完成することができなかった。 その代わりに、多様な浅海生物を、ごく低濃度の炭酸ガス条件で、2ヶ月を越える長期にわたって飼育し、その影響を明らかにすることができた。大気中への炭酸ガスの放出が現在のまま行われると、700ppmを越える濃度になると推定されるが、それよりわずかに高濃度の2000ppmの炭酸ガス濃度の空気で、炭酸カルシウムの外骨格をもつマガキガイ(軟体動物)および炭酸カルシウムの内骨格をもらバフンウニ・ツマジロナガウニ(棘皮動物)を飼育した。その結果、どの種においても、かなりの個体が1ヶ月を越えたあたりから、このようなわずかの炭酸ガスの上昇でも死亡し、さらに軟体動物の炭酸カルシウムからできている外骨格は、海水のpHが低下するのにともなって溶解する為、有意に重量が減少することが明らかになった。したがって、今後炭酸ガスの影響に関するバイオモニタリングは、もっとも感受性の高い炭酸カルシウムの外骨格を持つ種を対象とし、2000ppm以下のごく低濃度の炭酸ガスを添加した条件で、数ヶ月以上の長期にわたって実行することが必要であることが明らかになった。
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