研究概要 |
本研究ではセラミックフィルタ上の堆積粉塵層の形成過程,および堆積粉塵層空間率の払い落とし効率への影響を実験的に検討した。 粉塵堆積機構については,種々の濾過速度における粉塵堆積実験を行い,堆積粉塵層による圧力損失および堆積粉塵層の厚み変化を測定して,堆積粉塵層の空間率の時間変化を求めた。また,堆積粉塵層のフィルタ円周方向の粉塵量分布を気流と粉塵量が同時に変化するとしたモデルを提案し,高温集塵条件下での粉塵堆積量分布を予測した。 粉塵払い落とし機構については,堆積粉塵量が等しく空間率の異なる堆積粉塵層対して粉塵払い落とし実験を行い,フィルタ内外および表面上の圧力およびフィルタ中部での粉塵片の剥離距離を測定して粉塵払い落とし効率を求め,堆積粉塵層の空間率と払い落とし効率の関係および,粉塵払い落とし機構を検討した。また,粉塵払い落とし現象の可視化,払い落とし後のフィルタ表面の観察を行い,詳細に粉塵払い落とし機構を検討した。以下に本研究で得られた結果を示す。 1)セラミックフィルタによる集塵時の堆積粉塵層は異なった3つの構造(空間率の低い初期粉塵層,空間率の高い過渡粉塵層,定常粉塵層)により形成される。 2)提案したモデルによる数値シミュレーションから,大気圧の条件下では粉塵供給口に近い部分での堆積粉塵の厚みが最も厚く,供給口に最も近い部分(=0deg)より130deg付近の厚みが最も少なく,厚みの少ない位置での粉塵量の増加速度は最も速くなることがわかった。また,気流の温度上昇すると粉塵層の厚み分布は小さくなる。 3)堆積粉塵の払い落とし効率は,堆積粉塵層が等しければ,払い落とし気流の圧力が大きいものほど高くなり,空間率の低いものほど低くなる。 4)フィルタ表面からの剥離粉塵片の距離は,堆積粉塵層の空間率が低いものほど遅く始まり,剥離粉塵片の大きさは小さくなる。
|