研究概要 |
本研究では下に示す内容の課題を遂行した. 1. 海洋生物毒の構造と活性 1-1. ピンナトキシン 1-2. エゾトガリネズミの麻酔物質 2. バイオフィルム形成制御物質の探索 3. 抗腫瘍および抗炎症性物質の探索 3-1. VCAM-1(Vascular Cell Adhesion Molecule-1)の産生阻害物質 3-2 抗腫瘍物質の探索 3-3. スパーオキシドアニオン(O2)の産生を阻害する物質 3-4. アポトーシス誘導物質の創製 3-5. 骨粗鬆症モデルマウスに効果のあるノルゾアンタミン類 その結果,海洋生物由来の極めて切れ味のよい生物活性物質が発見できた。一部の活性物質は,合成的に生体内実験に供することが可能であるが,他の物質については,まだまだ大量に供給できるレベルには到達していない.本研究を足掛かりにして,医薬品や工業用分野など,社会で大きく活用できる物質の創製を目指す必要がある.特に,カルシウムチャンネル活性化物質,がんの転移抑制剤,抗炎症剤,骨粗鬆症治療剤,船底塗料,工業用抗菌剤等として大いに期待できる物質もあり,大きく期待が膨らむ,応用面以外の基礎的な有機化学の進展としては,1.ピンナトキシン生合成経路の示唆,2.ゾアンタミン類の異常反応,3、ハリクロリンの生物オリジンの推定,4.麻酔作用とカルシウムチャンネルとの関係解明,が主たる成果である.今後,生体内実験を中心に展開し,応用開発のさらなる展開を図る。
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