研究概要 |
表題の研究のために4種類の異なる蛋白質(ソースの異なるものも含めると7種類の結晶)の構造解析を進めながら技術開発を行ってきた.その結果,この1年間に2種類の蛋白質(4種類の結晶)の構造解析に成功し,これまでの構造解析に要する時間を大幅に短縮することができた.構造を決めることのできた一つの蛋白質(0mpR DNA結合ドメイン)は,これまで3年間にわたり重原子置換体の調整に取り組んできたが構造が得られなかったものである.この蛋白質に対して,新しい方法(Se-MAD法)を適用することにより,数ヶ月で構造を決めることができた. 調整したすべてのSe化蛋白質で,ネイティブ結晶と同型の結晶と同じ結晶化条件で得ることができた.またSe蛋白質の結晶化にはネイティブ結晶のシ-ディングが有効であることも分かった.還元剤を加えてSeの酸化を防ぐことが結晶化にとって必須の場合もあった.こうした点を考慮することで,Se蛋白質結晶の調整は,試行錯誤なく計画通りに行なえると考えている.0mpRの構造解析では,5個のSeの内の3個の位置パタ-ソン関数からた決めることができた.その内の2個は,はじめに疎水性コアーにあると予想sれたものであり,相同蛋白質からMetの環境(従って熱振動が小さく解析に有効なMet)を推定する方法の有効性を確認した.構造解析の成否は,波長を変えたときに生まれるSeからの小さいシグナルを検出できるかどうかにかかっている.そのためには,結晶を窒素温度にまで冷却し,X線によるダメ-ジを最小限に抑え,すべての波長データを一つの結晶で記録することが重要である.
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