研究課題/領域番号 |
08558072
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
植田 正 九州大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (90184928)
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研究分担者 |
黒木 良太 キリンビール(株), 基盤技術研究所, 主任研究員
井本 泰治 九州大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (90038282)
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キーワード | タンパク質 / 巻き戻し / 透析法 / IgG / 単鎖Fv / インクルージョンボディ |
研究概要 |
1、抗リゾチームモノクローナル抗体の再生機構の解析:予めH鎖とL鎖をゲルろ過により分離し、それぞれ単独で再生した。SDS-PAGEにより解析したところ、H鎖単独での再生体では、一部SS結合が関与するオリゴマーが形成していたが、L鎖はその様なものは形成されなかった。これらを変性剤を含まない酸化一還元系で混合した場合、従来どうりH鎖、L鎖共存下で再生した場合と同程度に再生することがわかった。また、再生体はインタクトと同じ分子サイズを持っていた。これらの結果から、この再生反応系において、SS結合を介して、オリゴマーが形成していたH鎖はL鎖との都合のよい相互作用によって、インタクト構造を形成することが示唆された。 2、大腸菌産生リゾチームの効率的な再生:大腸菌により産生された変性リゾチームをゲルろ過により粗精製し、種々の濃度で透析法と希釈法にて再生し、再生率をイオン交換樹脂によって解析した。希釈法では、0.25mg/mlの濃度で5%以下の再生率であったが、透析法では、1.25mg/mlの濃度で40%の再生率を与えた。変性蛋白質を再生する過程で生じる多くの分子種(例えばデアミデーション等に由来する)が共存するなかで、透析法は変性蛋白質を効率よく再生することができる方法であることが示唆された。 3、単鎖Fv抗体の再生:抗ヒトII型コラーゲンの抗体由来の単鎖Fvは、不安定な蛋白質である。この還元変性体の再生を透析法を用いて行ったが、ほとんど再生しないことがわかった。そこで、還元変性した蛋白質を変性剤共存下で、逆相樹脂に吸着させ、樹脂上で再生を行った後に溶出した。その後非還元条件下で、変性-再生を行い、アフィニティーカラムにより再生率を求めたところ、約30%の収率で活性体が生成した。この方法は、不安定蛋白質の再生に有効であることがわかった。
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