タンパク質分子のナノメートルレベルの微小運動を1分子ごとにマイクロ秒の時間分解能で測定する“超高速・超高感度微小変位計測装置"を開発し、細胞膜タンパク質の微小変位測定に応用することが本研究の目的であり、今年度の計画は、4分割アバランシェフォトダイオード検出機と、レーザ反射偏光顕微鏡法による変位測定装置を製作することであった。 現在、現有の超高感度偏光顕微鏡の照明装置を、本申請で購入したダイオードレーザーに変更することは終了し、水銀ランプ照明に較べ信号が約50倍に増強できることがわかった。すなわち、直径40nmの金コロイド1粒子から500mWの反射光出力が得られた。これは、当所に予想していた通りである。光学系を工夫することにより、さらに2-3倍の信号強度が得られるものと期待される。 4分割APD検出器に関しては、装置の基本設計を再検討し、当初に予定した浜松ホトニクス社製に替えて、より低雑音かつ増幅比の高いEG&G社のAPD素子を使用すること、信号雑音比を上昇させるためペルチェ素子による温度コントロールを行うこととした。 上記の設計変更により、検出器の製作が予定より遅れたため、顕微鏡と検出器とのインターフェース以降の作業はまだ行っていないが、当所予定よりも優れた装置が完成するものと思われる。
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