研究分担者 |
岡田 務 日本酸素株式会社, 事業企画部, 専門部長(研究職)
伊藤 隆 理化学研究所, 遺伝生化学研究室, 研究員 (80261147)
木川 隆則 理化学研究所, 細胞情報伝達研究室, 研究員 (20270598)
河合 剛太 千葉工業大学, 工学部, 助教授 (70211860)
武藤 裕 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (30192769)
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研究概要 |
本年度は,現在まで,開発してきた蛋白質および核酸の安定同位体標識技術をさらに押し進めるとともに、これらの手法を用いることにより、実際の生体物質への応用を試みた. 1.蛋白質館相互作用を調べる上で蛋白質複合体の構造解析は非常に重要な課題であるが,一般的に複合体の分子量は、かなり高分子量になる.われわれは,多くの蛋白質と相互作用をもつRas蛋白質を題材にとり,安定同位体(^2H,^<13>C,^<15>N)標識を行ったRas蛋白質とターゲット蛋白質との相互作用を解析した.この結果によりRas蛋白質と相互作用する同族蛋白質であるRalGDS-RBDとRaf-RBDの認識機構の違いを明らかにすることができた. 2.無細胞蛋白質合成系を利用することにより,部位特異的に^<13>C安定同位体標識を行った試料を作製し,側鎖部分についても部位特異的に情報を抽出することに成功した. 3.安定同位体標識Sxl蛋白質について、二つのRBD(RBD1-RBD2)の協同作用によってRNA分子の配列認識が行われていることを明らかにし、さらに部位特異的変異をもちいることにより、構造解析可能な試料を作成し、NMR法によるRBD1,RBD2の高次構造解析に成功している。この結果RBD2は、通常のRBDと同じような高次構造を持つのに対して、RBD1は、RBDとしてのコンセンサス配列にあてはまらない高次構造をもつことが明らかになった。さらにSxl蛋白質の結合配列としてGU8C,を選び、安定同位体標識法を用いた解析から、2,3,6,7位にあるウリジンのイミノプロトンが特異的にSxl蛋白質のRBD1-RBD2に認識されていることを明らかにしている。このようなRNA分子の部位特異的な安定同位体標識の他に、無細胞での転写系を用いることにより,RNA分子の大量発現系を構築した.従来法とは異なり,一度に転写したRNA分子をRNaseで処理することにより,目的のRNA分子を得る方法を開発した.この方法により,uniformに^<13>C,^<15>N安定同位体標識を行ったRNA分子を大量合成することに成功した.この試料を用いて,Sxl蛋白質との相互作用を解析を進めることができた.
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