研究分担者 |
塚田 秀夫 浜松ホトニクス中央研究所, 研究員
池田 昭生 京都大学, 医学研究科, 助手 (90212761)
長峯 隆 京都大学, 医学研究科, 助手 (10231490)
福山 秀直 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90181297)
米倉 義晴 福井医科大学, 医学部, 教授 (60135572)
|
研究概要 |
動物用PETを用いた研究は,ラットなどの小動物からサルまでさまざまな動物の脳機能について,脳血流,脳ブドウ糖代謝率,各種神経伝達物質とその受容体の画像化を行うことが主な目的である. 本年度は,研究初年度でさまざまな機器の整備とその利用法について検討した.まず,サルの固定用に動物用PETに適合するモンキーチェアを作成した.また,サルの運動や各種感覚刺激に反応して生じる脳の電気生理学データをPETと同時測定するため,新たに運動の観察のためにビデオモニター装置とデジタル脳波計のデータを同時記録できる装置を開発した.これらによって,脳の電気生理学現象とPETによる脳血流の変化を同時に記録測定できることになった.かかる装置を用いることで,運動に関連した脳機能の詳細な記録研究ができるようになった. われわれは,大脳皮質の機能を脳血流測定によって研究することが買うのであるとする基本的な概念を支持するものとして,動物用PETにより動物(ネコ)を用いた足底刺激による知覚運動野の賦活現象に,大脳皮質に内在するコリン作動性神経が大きく関与していることを明らかにした.また,この現象がネコのみならず高等なサルにおいても見られることを明らかにした.したがって,ヒト脳においても同様の原理で局所脳血流の増加が起こっていることが推測される. ヒト脳の病理学的な研究では,致命的な部位の障害が生じないと神経症状を示さないが,PETの賦活試験では賦活試験に関連するすべての脳の部位の血流が増加する.したがって,賦活された部位相互の重要性の評価が困難である.このギャップを埋めるには,サルのような高等動物にヒトの賦活試験と同等の試験を行い,賦活部位の破壊を加えることで,賦活された部位の関連性,重要性を明確にするとができると推測され,今後の重要な研究方法の一つになると考えている.
|