研究課題/領域番号 |
08558084
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研究種目 |
基盤研究(A)
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応募区分 | 試験 |
研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
工藤 佳久 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (20080179)
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研究分担者 |
東 秀好 三菱化学, 生命科学研究所, 主任研究員
片山 佳樹 九州大学, 工学部・応用物理化学, 助教授 (70284528)
高木 博 信州大学, 医学部・加齢研究所, 講師 (80247220)
中村 健 東京薬科大学, 生命科学部, 助手 (50227906)
宮川 博義 東京薬科大学, 生命科学部, 助教授 (90166124)
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キーワード | カルモデュリン依存性キナーゼ / 蛍光色素 / 細胞内情報伝達 / イメージング / 海馬ニューロン / 可視化 |
研究概要 |
本研究の目的は細胞内情報伝達分子やそれによって活性化される機能分子の活動を実時間で可視化解析する方法を確立し、シナプス伝達の調節過程を画像として捉えることにある。この目的達成の手がかりとしてCa2+/calmodulin dependent protein kinase type II(CaMKII)の可視化解析に有効な試薬の作製を行った。この試薬はCaMKIIの合成特異的基質ペプチドsyntide2のN-末に蛍光プローブ(acrylodan)を結合させたものであり(AS2と名付けた。吸収極大360nm、蛍光極大524nm)、リン酸化の結果生ずる構造変化を蛍光強度の変化として捉えることを期待したものである。この試薬の蛍光特性を検討した結果、リン酸化されると、524nmの蛍光が約2倍に増大し、リン酸化の指標になることが判明した。ところが、この試薬はCa2+/calmodulinと結合して、470nmに極大を持つ強い蛍光をも発生した。そこで、Ca2+/calmodulinとの相互作用を軽減するためにCalmodulineとの結合部位でと予測されるC-末のLys-Lys(KK)をLeu-Glu(LE)に置き換えた試薬LEAS2を作製した。LEAS2のCa2+/calmodulinとの相互作用は小さくなり、470nmの蛍光はほとんど障害にならなくなった。しかし、反応速度は明らかに低下していた。これらの試薬は細胞外に適用するだけで細胞内に浸入する。この性質を利用して、AS2で染色した培養海馬ニューロンをグルタミン酸で刺激した場合、細胞内の特異的部位にリン酸化が生じていることを画像として捉えることが出来た。さらに改良型として、酵素分解を受けにくい試薬や蛍光強度の強い試薬を作製した。これらの試薬は生命現象の新しい解析手段を拓く可能性を示すものと期待している。
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